知らない間に誰かを傷つけていない?

誰もが持ってる「決めつけ」スイッチ

職場で、家庭で、友人同士で、こんな風に考えたことはありませんか?

締め切りギリギリで出してきて、すいませ〜んと言葉の軽い同僚に。
「あの人は、どうせやる気がないタイプの人だから」

フォローしてくれた先輩の「もっと早く言いなさいよ」の言葉に。
「きっと、私のこと嫌いだからこんな言い方をするんだ」

この時、あなたの頭の中で起きているのは、見たこと、聞いたこと(事実)に、あなたの「心のメガネ」で色付けした「解釈」を混ぜている状態。

事実「締め切りギリギリ」 → あなたの解釈「やる気がない人だ」
事実「早く言いなさいよ」 → あなたの解釈「私のことが嫌いなんだ」

この「解釈」が固まった瞬間、私たちは「決めつけ」という名のスイッチを押します。
そして、それをあたかも事実として心に刻み、時には悲しくなったり苦しんだりします。

ちょっと待って。

この事実はあくまでも、締め切りはギリギリで間に合っている同僚と、言葉とは裏腹にフォローしてくれる先輩。
なのに、なぜ、私たちは自分の解釈で物事を理解してしまうのでしょうか?

実はこれ、脳が私たちを疲れさせないために勝手にやってくれる「思考のクセ」なんです。

でも、その「決めつけ」が誰かの居場所を奪うかも

私たちがこの「決めつけ」を言葉にしてしまったとき、それが悪意のない一言であったとしても、聞いた人にとっては強い影響力を持ちます。

例えば、あなたが「Aさんは、空気が読めないから、あの仕事は任せられない」なんて同僚に言ったとしましょう。
そうすると、それを聞いた何人かの人たちの認識は、Aさんは「空気が読めない人だ」ということが事実となって、Aさんを「空気の読めない人」という枠(レッテル)に入れてしまいます。

たとえ、Aさんが実は、他の人にはないユニークな発想を持っていたとしても、この「枠」のせいで、その可能性や役割を与えられなくなってしまう可能性が出てきてしまうのです。

誰か一人の「ちょっとした解釈」が、集団の中で「動かしがたい事実」になっていく。
この連鎖こそが、人を傷つけたり、仲間外れにしたりする原因となります。
学校のいじめ、職場のいじめ、地域の中の仲間はずれ。
誰かの、もしかしたら自分が解釈したたった一言が、その原因をつくってしまうかもしれないのです。

言葉は口からスラっと出てきますが、時にそんな怖い現象も引き起こしてしまうのです。

この連鎖を断ち切ることこそが、「すべての人が自然体でいられる社会」への、最初の一歩なのかもしれません。

心のメガネをクリアに保つ、優しい3つの習慣

「決めつけのクセ」は誰にでもあるものだからこそ、私たちは意識して「心のメガネ」を拭いてあげる必要があります。

① 感情の前に「待てよ?」と一呼吸置く

カチンときたり、不安になったり、誰かを責めたくなったとき。
言葉にする前に、まず心の中で「待てよ?」と問いかけてみましょう。

「今、私が感じているこのモヤモヤは、目の前の事実か?それとも、過去の経験からくる解釈か?」

この「一呼吸」が、あなたの言葉を感情のままのナイフにするか、冷静な対話の扉にするかを決めます。

② 「裏側」の事情を探してみる

自分の解釈が正しいと思う気持ちを少し横に置いて、「もし違うとしたら?」と考えて、裏側の事情(別の可能性)を探してみます。

  • あなたの解釈:「彼は私に敵意がある」
  • 裏側の事情:「彼は、実は今、個人的に大きな問題を抱えているのかもしれない」「単純に、人見知りで目を見て話せないだけなのかもしれない」など。

自分の解釈に反する「別の見方」を意識的に探すことは、決めつけの思考の偏りを優しく修正する、とても効果的な心の訓練です。

③ 責めずに「私」の気持ちを伝える

相手を責める言葉(「あなたは〇〇だ」)ではなく、「私」がどう感じたかを穏やかに伝えます。

  • ❌ 「あなたはいい加減だから困る」(私の決めつけスイッチ発動中)
  • ⭕️ 「(事実)昨日、連絡がなかったとき、(気持ち)私はとても心配になったよ」(私の気持ち)

こう伝えることで、相手は「あなたはいい加減だ」と人格を否定されることなく、あなたの気持ちを理解することができます。
この「Iメッセージ」の伝え方は、互いの間に理解のスペースを作り、関係を修復したり対話ができる温かい空間を作り出します。

あなたの言葉が、誰かの居場所になる

自分の「心のメガネ」をクリアに保つ努力は、完璧な人間になるためではありません。

それは、自分の言葉が、誰かを不当な枠にはめ込むことなく、その人らしく、自然体でいられる場所を共に作り出す力となるからです。

「決めつけを手放すこと」は、誰かを排除することなく、すべての人が支え合い、共に生きる社会を目指す、「優しいまなざし」そのものです。

ぜひ、言葉を出す前に「この言葉は、誰かを枠にはめていないか?」と、心の中でそっと自分に問いかけてみてください。
そうすることで、誰かとの関係が少しづつ変化していくのを感じられると思います。

この記事を書いたのは

植竹 美保
団子の焼ける公認心理師
こころ整備士(認定専門公認心理師)の植竹美保です。
たまに団子屋になりながら、支援者支援をメインに活動しています。

もう疲れた、先に進めない、進みたくない。
そんな風に思ったら、私と一緒にこころを整備してみませんか?
少しでも皆さんの心持ちが軽くなるようなお手伝いができればと思っています。
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