優しい言葉でも、心がざわつくとき

あなたにも、こんな瞬間ありませんか?

たとえばコンビニで。

レジで「ありがとうございました」と言われた瞬間、なんとなく心が温かくなるとき。
その一言に、ふっとやわらかい空気が流れる。
それはきっと、その人の表情や声のトーンに、心がこもっているから。

けれど、同じ「ありがとうございました」でも、目も合わさず、機械的に言われると、どこか冷たく突き放されたような気持ちになる。
たった一言でも、そこに流れる空気は、こんなにも違うものです。

そして、その日の自分が余裕を持っているか、疲れているか。
そんな心の状態にも、受け取り方は左右される気がします。

言葉は同じでも、なぜこんなにも感じ方が違うのでしょう。
そのことを、あらためて考える出来事が、先日ありました。

言葉は優しいのに、心はざわつく

病院で手続きをしたときのことです。
最初に受付をしてくれた方は、とても丁寧に対応してくれました。
「場所が去年と変わっているんですよ」と申し訳なさそうに案内してくれました。
私は「大丈夫ですよ」と自然に笑って答えていました。
そこには、温かなやりとりがありました。

だからこそ、次の窓口でふと受けた“冷たさ”が、際立って感じられたのかもしれません。

「この書類をお願いします。」とお願いモードの私。
しかし、その人は目も合わせず、表情も変えず、もちろん返事もなく。
事務的に繰り返される言葉だけ。
「こちらへどうぞ」
「お支払いをしてからお帰りください」
どれも間違ってはいない。
むしろ言葉は丁寧なのに、そこには人の温度を感じませんでした。

「私は、“ここにいる人”として見られていない」
そんなふうに、心に小さな棘が刺さる瞬間でした。

人は、言葉より“空気”を受け取っている

心理学では、人が相手から受け取る情報は言葉以上に、非言語である「表情や声のトーン、態度」で受け取る方が大きいといわれています。
有名なメラビアンの研究では、言葉が与える影響はわずか7%。
声や表情、しぐさが9割近くを占めるとも言われています。

つまり、どれだけ丁寧な言葉を使っても、そこに気持ちがこもっていなければ、人はその“空気”を敏感に感じ取ってしまうのです。

そして私たちは、ときに無意識のうちに、そんな態度に心をざわつかせ、怒りや悲しさを覚えることがあります。

小さな態度のすれ違いが、心を傷つける

この出来事を振り返って、私は【マイクロ・アグレッション】という言葉を思い出しました。
これは、悪意があるわけではなく、無意識に表れてしまう「小さな無関心」「冷たさ」「雑な扱い」が、受け取る側に静かに傷を残すという考え方です。

相手にとっては、ほんの些細な態度だったかもしれません。
けれど、私は「軽んじられた」「拒絶された」ような心細さを、確かに感じました。

こうした小さな棘は、日常のあちこちに転がっています。
特に、医療や福祉の現場では、人と人との関わりが当たり前すぎて、ふとした瞬間に雑になってしまうこともあるのかもしれません。

けれど、受け取る側にとっては、その一瞬がとても大きく響いてしまうことがあると思うのです。

私が選んだ「私らしい態度」

そのとき私は、丁寧にお礼を言って、その場を去りました。
なぜなら、自分が受け取った態度に振り回されて、自分まで冷たくなりたくなかったから。
いや、振り回されそうになった気持ちを、なんとか元に戻そうと思ったからです。

自分のために丁寧に振る舞ったのです。

どんなときでも、「私はどう在りたいか」を手放さずにいよう。
そんな、ささやかな自分への問いかけでした。

心理学では、こうした反発心を【リアクタンス】と呼びます。
自分の尊厳や自由が脅かされると、人は「取り戻したい」と行動するのです。
私が丁寧にふるまったのも、その一つだったのかもしれません。

たとえ誰かに心が揺れても

誰かの態度で、心がざわつくことは誰にでもあります。
けれど、最後に選べるのは「自分の態度」です。

「私は、どう在りたいか」
この問いがあるだけで、心は少し穏やかになれる気がしています。

さて、そんな時。
あなたは、どう在りたいですか?

関連書籍紹介

岸見一郎・古賀史健(ダイヤモンド社)

アドラー心理学をベースに、「他者の態度に振り回されない」「自分の人生をどう生きるか」に焦点を当てた一冊です。
「相手の態度ではなく、自分がどのように在りたいか」――その問いかけが、冷たい空気にふるえた心をそっと整えてくれます。

この記事を書いたのは

植竹 美保
団子の焼ける公認心理師
こころ整備士(認定専門公認心理師)の植竹美保です。
たまに団子屋になりながら、支援者支援をメインに活動しています。

もう疲れた、先に進めない、進みたくない。
そんな風に思ったら、私と一緒にこころを整備してみませんか?
少しでも皆さんの心持ちが軽くなるようなお手伝いができればと思っています。
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